「ポエトリーリーディング at 神保町 」

1日限りの詩の朗読イベントでした!

ポエトリーリーディング at 神保町

とき:2009年5月17日(日)
時間:13:30 開場 14:00 開演
入場料 500円

朗読 :
荒川純子
魚家明子
長澤忍
南川優子
ヤリタミサコ
松田道貴(パーカッション)



※ご来場ありがとうございました。お陰様で無事終了いたしました。
南川さんより記録写真とコメントが届きましたので、ご覧ください。

 
 ポエトリーリーディング at 神保町(2009年5月17日)


昨年の5月に引き続き、今年も[1号室|2号室]で詩の朗読会を行ないました。
今回の朗読者は、昨年の荒川純子さん、ヤリタミサコさん、松田道貴さん(+パーカッション)、
私南川優子に加え、新潟から長澤忍さん、魚家明子さんが参加。
また、今年もオープンマイクの時間を設け、林(仮)さん、イダヅカマコトさん、とものさん、
小野原さんの4名が朗読してくれました。


ヤリタミサコ

自伝のようでありながら、大人の世界に摩擦を感じる者たちの心をもすくいとっていく詩。
聞きながら不思議な連帯感を持った。

遊びあきると仲間たちとかたまって
ほかほかの土の上にしゃがんでパンツを下げて
おなかに力を入れて
あたたかい小川を流した
少しだけ土埃があがって、湯気もたってひょろひょろと小川が
できていく
下を見ると あれあれどこまで行くの
足の方に来ないで
ちょっとだけ足をずらす
「ただいまの装置5」より



魚家明子

声に出して読まれた詩が、紙に書かれた詩とまったく同じ波長を持っていると感じた。
Birdという英語の言葉が、日本に昔からある言葉のように親しみ持って聞こえた。



松田道貴

今回はパーカッションだけでなく、朗読も披露。
小気味よいリズムで残酷な出来事を客観的に語ることの不気味さを感じた。

車がグチャ猫疎んじられて静かにねずみのオモチャおいかけて狂った猫
マンションの10階から丁度良く車プップーって疎んじられて猫がプップーって
グチャ猫の上何台もの車プップーって湯気出てた中身猫の中身プップーって
牛乳飲んでた猫窓から落下させて湯気出た猫の車疎んじていた牛乳
真冬の寒い日猫プップーってグチャ猫中身湯気寒い牛乳疎んじてマンション
  猫が プップーって   猫が プップーって
  猫がプップーって    猫がプップーって
「猫を食べてはいけません」より



南川優子

国語辞典の言葉の定義を置き換えて作った詩を朗読した。

未来の夢を 語ろうとすると
水草が舌にからまり
話せなくなる。
とりわけ 大それた目標を
みんなの前で 披露すると
水草の先端が とがり
硬くなって
一定のリズムで旋回するので
舌に刺さり 痛い
未来は透明なはずなのに
なぜだろう。
「置き換えられた定義」より



荒川純子

子育てや結婚生活の中、自分が置かれる位置と本当の自分とのずれを見つめる詩に、切なさを感じた。

しかし私はヒトの子を産んだ
分身であって別人
誰かに似た手足をもつ子の
その声をはじめて耳にした時から
毎日が風の強い日のたこあげのようで
いつも手に糸を持ち
落ちないように引き続けている
それは固定されたということ
切れない糸は濃い血縁 
私は違う私になった



長澤忍

弟の妻の死という不幸な出来事に対し、自分や家族が示した感情を紡いでいく即興詩。
記録でありながら、物語のように展開していった。



企画として、今回はイギリスの芸術家ヘンリー・ムーアのSculptural Objects
(http://www.tate.org.uk/servlet/ViewWork?cgroupid=999999961&workid=9683&searchid=10235&tabview=image)
という絵のコピーを2枚用意しました。
まず、長澤忍さんに、絵を見ないようギャラリーの外に出てもらい、
出演者が1枚の絵を10片ほどに破ってから、観客の方々に渡し、
破片のイメージを元にひとり2行の詩を書いてもらいました。書かれた詩は絵の破片とともに壁に貼られ、
ギャラリーに戻った長澤さんがひとつひとつ読み上げ、即興詩の始まりです。
第一声の大音声に、「そんなにシャウトしちゃっていいの?」とびっくりしながら聞いていくうちに、
絵から導かれた観客の言葉が長澤さんの声の振動に乗っていき、長澤さん自身の詩へと広がっていきました。
途中ではヤリタミサコさんとの掛け合いも入り、終わりに近づくと、破られていない元の絵も長澤さんに手渡され、
そこから再びイメージがふくらんでいくおもしろさも味わうことができました。

南川優子